点火方式の話
良い圧縮、良い混合気、良い火花、三大要素の内の点火です。
現在はCDI点火とトランジスタ点火が主な方式です。

旧車好きですから昔ながらのコンタクトポイント仕様を考えて見ます。
コンタクトブレーカというほうが正しいかな。

進角方式はガバナーコントローラー(遠心式自動進角装置)が殆どです。
進角は重りの遠心力で進角させる仕組みです。
車ではバキュームコントローラー(真空式進角装置)も使われています。
エンジンの負圧を利用して進角させる方式ですね、キャブにもダイヤフラムを利用したCVキャブがありますね。
手動進角もありますね、私の廻りだけ!?

プラグに発生するスパークについては何処かに書いた気がします。
多分電気のお話だったと思います。

ご存知のようにコンタクトポイントが開いた瞬間が点火タイミングです。
デジタルでしたら、そのままON,OFFで良いのですが、アナログなコンタクトポイント方式ですと結構ファジーです。
人間くさくて好いですね。

コンタクトポイントが開いた瞬間は、コンタクト間を1次コイル電流が流れようとします。
開きかけのコンタクト間を電流が流れようとしてスパークします。
そう、僅かですが1次コイルに電流が流れ続けます。
どんなにコンタクト面を平滑にしても、そして一番重要なコンタクト面が等間隔の隙間で平行開閉するようにしても避けられません。
1次回路がなかなかカットされないんです。
この回路がカットされませんと、実質プラグの火花が飛びません。


点火タイミングの調整によく豆電球が利用されます。
アナログにはアナログですね。

ポイントプレートをこんなもんかな?、一応長穴のセンターへ合わせます。
クランクを廻してコンタクトポイントを点火タイミングで豆電球が消灯する位置に合わせます。
そう、私の場合は消灯です、点灯ではありません。
確認する為のサーキット(回路)の作り方で点灯でも消灯でも出来ますね。
一見どちらでも良さそうな気がしますが。

ポイントが開いたときに点灯させますと、実際のタイミングは遅れます。
物理的にはポイントが開いてこの回路が遮断されます。
でも電流はポイント間を流れ続けようとします。
少し遅れてグランドへ落ちていた電流が、今度はコンタクトポイントに並列に接続した電球の回路に十分に流れ豆電球を点灯させます。

フィラメントに電流が流れて目視で点灯が確認できるのは、フィラメントの特性上でも遅れが出ます。
実際にはクランクを手でゆっくり廻していますのでこの遅れは無視できる数値だとは思うのですが。

この時、初めて豆電球に電流が流れるのではありません。
回路として成り立っていますから電流は最初から流れていました。
ただ、豆電球を点灯させるだけの電流が流れていなかっただけです。
単純に、ポイント間のほうが豆電球より抵抗値が低かったからそちらに大部分の電流が流れていました。

バイアス電流、分かりにくいですね、サスペンションのプリロードと一緒です。
チョット違いますがいいでしょう。
逆に瞬時に反応して豆電球が点灯するから良さそうなのですが。
やはり、ボワ〜と点き始めて点灯しますね、消灯も名残惜しそうに消えていきます。

私は、この方法を使うときにはLEDを使います、反応が早いですから。
電気屋の私の奥義はオシロスコープです、笑
コンタクトのチャッタリング、スパーク状態も見られますから。

ポイントが開いたときの消灯で合わせるときはどうでしょうか。
フィラメントの豆電球は点灯より消灯の反応のほうが早いんです。

どちらにしても点灯した電球を見続けていますと、目に残光が残り判断を鈍らせます。
視界の何処かにあれば良くしたもので解りますからね。
でも暗反応より明反応のほうが人間早いんですよ、どうしましょう!?

違いは点灯で見るときにはイグニッションコイルと直列に回路が挿入されるのに対して、消灯で見るときには単独回路となりイグニッションコイルの抵抗値に左右されないことでしょうか。
イグニッションコイルへの接続を断って行えば同じです。
全バラから組んでいれば良いですが、通常はメンテナンスとしての作業が多いですから、この回路を切り離しての調整はあまり無いでしょね。

コンタクトポイント方式にはコンタクトと並列にコンデンサが使われています。
一次コイルに流れていた電流がポイントを開くことによって遮断されます。
でも電流はポイント間を流れ続けようとします。
コンタクト間のスパークですね。
このスパーク、コンタクトポイント間に流れようとする電流をどうにか遮断しなければいけません。
コンデンサーを取り付けてポイント間に流れようとする電流を防ぐ、これがコンデンサの役割です。
電気の横取?、お目付け役でしょうか。
そっちじゃないよ、こっちへおいでと食欲旺盛なコンデンサに流れ込みます。

イグニッションコイルの交換ではコイルの持つ抵抗値にも考慮は必要です。
コンタクトポイント方式で抵抗値の低いコイルに交換するときは特に考えておかなくてはなりません。
電流値が高くなりますので、コンタクト間を流れ続けようとする電流によるスパークも多くなります。

コンデンサはコンタクトの保護と思われていることもありますが、結果的には間違っていません。
副産物ですね、コンタクト間にスパーク飛ばなければ傷みが少なくてすみます。
本来のコンデンサの役割は一次コイルの回路のカットを瞬時に行い、イグニッションコイルの二次コイルの発生電圧を高くするのが目的です。

コンデンサが機能しませんと、いつまでもコンタクト間に電流が流れ続け一次コイルの電流が十分に遮断できません。
この電流が遮断されませんと、二次電圧が発生しませんのでプラグに火は飛びません、失火ですね。
完全にコンデンサがお釈迦になれば非常に分かりやすい現象です。
プラグに火が飛びませんからエンジンも掛かりませんから。
失火の割合が多くなれば、エンジンの調子悪いな・・・で体感できます。
問題は体感できる失火と違い、時々起こる失火です。

6000回転で6000回確実に燃焼爆発しているかといえば、けしてそうではありません。
元々100%はありませんね、気が付かない程度には失火しています。
当然コンデンサが劣化してきますと、この失火の回数が増えてきます。
100/6000回転の失火を10/6000に減らせば90回分のパワーが余計に得られます。
コンデンサの交換だけでパワーアップする、手軽なチューンナップですね。
旧いバイクでのカタログデータとの食い違いで最も多いのがこの失火に由るパワーロスです。
パワーロスというよりパワーを作っていないのが正確でしょう。

6000Rpm、50PHが40HPしか無かったら、1200/6000Rpm・・・・1200回の失火!?
まあそんなに単純ではありませんが、有り得ますよ。

6000Rpmとして2気筒でしたら、1気筒辺り100/3000、6気筒でしたら100/1000ですか。
1/10の失火では分かりますよね、多分!?
1気筒当たりの失火割合は変わりませんから、気筒数が増えればパワーロスも増える!?ということでしょうかね。

アーシングも失火を減らすのには有効です。
アーシングでパワーが上がることはありません。
確かに昇圧ですから、僅かな一次電圧の差は二次側では**百倍くらいの差になります。
無闇に電圧だけが上がっても仕方がありませんが。
確かに火花は強くなりますから良いんです。
実際には失火を減らすのが一番の目的とするのが妥当だと思います。
失火が減りますと作り出すパワーがその分増えますから、パワーアップしたとの事になるのでしょうかね。
元のパワーがダウンしていたのが本当のところです。
新車時に戻った!?
秘めた?いや眠っていたポテンシャルを引き出したとの事にして、1件落着にしましょう。

ついでに書けば金メッキ端子、アーシング線等に低抵抗のものを使っても、それを取り付ける側に接触抵抗があるかぎり大した意味がありません。
値段に比例しない・・ドレスアップかな!?

点火は勿論スパークプラグです、電気のお話でもチョット書いていますが。
ノロジー等に代表されるコンデンサは有効なのでしょうか。
プラグでのアーク放電は誘導放電に寄るものなのですが、この前段階として容量放電が始まります。
容量放電は文字通リコンデンサに寄るものです。
イグニションコイルにおいて逆起電力が発生すると最初はコイル、ハイテンションコード等と車体とのアース間に自然に発生するコンデンサ浮遊容量に蓄えられます。
時間にしますとμsくらいですが。
空気は負性抵抗ですから、電流が一度流れ始めればその後の電圧は低くても良いのです。
一度アーク放電が始まると電圧が落ちてもアーク放電は持統します。
その引き金となるのがコンデンサによる容量放電です。
コンデンサによりスパークが強くなる訳ではなく、その放電の開始を助けるんです。
ノロジー等はこの特性を積極的に引き出す為のコンデンサですね。
放電のきっかけを作りますから失火が減りパワーアップ?の図式でしょうかね。

セミトランジスタ、フルトランジスタも考えて見ましょう。

なぜポイント方式が使われなくなったのでしょう。
コンタクトポイントで機械的に断続するものをケタリング方式といいます。
ポイント式の欠点は、ポイントが損傷しやすく定期的な点検、交換が必要であることが一番でしょうか。
コンタクトポイントのスパークにより低回転時にコイルの電圧が低下しやすいこともあります。
逆に高回転時にはコンタクトポイントがチャッタリングにより、これまたコイル電圧が低下します。
良いところといえば、・・・・・分かりやすい事でしょうか。
メカ好きな私好みです、電気屋ですが。

欠点を補うために出てきたのがセミトランジスタ方式です。
1次回路を断続するのにトランジスタが使われています。
コンタクトポイントに流れる電流を信号として利用して、トランジスターアンプを追加していると言うのが正しいでしょうか。
微弱な信号としてのコンタクトポイントの利用ですから、スパークによるポイントの損傷がありません。
したがってコンデンサも必要ありません。
進角はガバナコントローラーをそのまま利用しています。
コンタクトポイント方式には代わりがありませんから、高回転時のチャッタリングは起きます。
機械ですからポイントヒール部は摩耗します、この為の点火時期の変化は避けられません。

セミトランジスターの欠点を補う為に、現在の主流のフルトランジスターが出てきました。
フルトランジスターでは、ポイントの変わりにシグナルジェネレーターが使用されています。
1次回路の断続を電子信号としでイグナイターアンプに送ります。
あとはセミトランジスタと同じくトランジスタにより、イグニッションコイルの1次巻線に流れる電流を断続しています。
進角はROMに依り電子制御されています、まとめてイグナイターと呼ばれています。
フルトランジスタはセミトランジスタからポイントを廃止しただけでなく昇圧方法も取り込んで進化ですね。

CDI(Capacitive Discharge Ignition)点火もありましたね。
キャパシティー ディスチャージ イグニッションですか、マンマですね。
CDI点火についてはよく知りません。
点火プラグでの放電時間(火花)が短いですからロングストロークには向きそうもありません。
シグナルジェネレータからの信号電流を受けて点火タイミングを決めコンデンサに蓄えた電荷一気にイグニッションコイルに流す装置かな。
進角回路は内部プログラムによります。
純正部品の流用はCDIのプログラム変更ができないタイプがほとんどですからチョット大変です。
キャブレターにスロットル開度センサー付けて、スロットルを開けた量に応じて点火タイミングを調節!?・・・

高回転時でも点火エネルギーの低下が少ないことは知られています。
プラグの汚れやかぶりに比較的強い?外気温が低くても始動性に優れているとも言われています。
私は弱虫ですから、雨の日、寒い日は乗りませんから解りません。
冬はスキー馬鹿に変身してますしね!

止めときますねCDIは、どこかのサイトをご覧下さい!

最近はフルトランジスタ方式+CDI方式の複合点火方式もあるようです。
フルトランジスタ方式の放電持続時間が長い所と、CDI方式の放電電流の立ち上がりが速さの良いとこ取りでしょうか。
高回転向けですね、私の旧車では必要ありません。
点火のエネルギーが強く低回転でも安定した燃焼が得られるところは羨ましいですが。

セミトランジスタ化はとっても簡単です。
進角部分は既存のままで済みます、単純に置き換えが出来ます、いやユニットの追加ですね。
フルトラでもROM書けば良いだけですが。
昔はよくプログラムをROM焼いてましたね、プログラムを記憶させて置けるのがROMしかありませんでしたから。

最初に自作でセミトラ化したのは、31年ほど前ですね。
ポイントはデストロビュータです。
ホンダ1300GTでした、ちなみに最初に所有した車です。
好きだったんですね、当時から。

欲をかいて、イグニッションコイルとの一体式で造りました。
5000Kmくらいで壊れました。
でもメーカーのレギュレータは新車から直ぐに壊れましたから、メーカー品より耐久性があった!?
当時はあちこちでボンネットを開けている風景が当たり前のようによく見られましたね。

能登半島をツーリングしていた時に突然エンジンストップ、前兆もありませんでしたね。
近くの民家で電話を借りて、電話帳で修理工場の検索です。
車の免許取って1年くらいたった頃でしたか、近くの修理工場まで牽引して頂きました。
この時、初めて牽引を体験致しました、怖かったですよ。
「後ろでブレーキ踏むな」と怒られました、笑

解体車からイグニッションコイルを外して取替え、「はい、どうぞ・・・」
あっけなくエンジンは掛かりました、400Km程の道のりを我が家へ。
乗り換えるまでそのまま交換無し。
以来、自作のセミトラは使ってません、トラウマ!?

再挑戦する気がここのところ起きています。
バイクなら牽引ないから大丈夫・・・・あれ以来一度も牽引されるチャンスには恵まれておりません。
とりあえず、セミトラからかな。
自作は止めてメーカー品を使ってみようか、ついでにフルトラも・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

バイクで年500Kmも走らない私なら自作でも10年は持つか!?