NorVin  ノーヴィン
タコメーターを付けよう!
視界に入るメーター廻りが寂しいです。

タコメーターを付けましょう。

英国車はレブカウンター(rev counter)と呼ばなくてはいけませんね。

タコメーター(tachometer)は米語での表記ですから。
クランクケースカバーに点火マグネットのインスペクションカバーがあります。

ここを利用しましょう。

加工に失敗しても気が楽です。
タコメータ駆動の取り出しはドライブギアの締め付けナットを加工するのが簡単です。

ピックアップ用のスロッテド溝加工だけで行けそうです。
Smithsのタコメータです。

クロノメトリックが定番です。

レーシングタコメータも雰囲気です。

ギア比はレーシングが4:1、クロノメトリックは2:1です。

NorGoldに使用しているクロノメトリックはクロックワイズの4:1です。

クロノメトリックのタコメーターにはクロックワイズとアンチクロックワイズタイプがあります。
Vegliaのレーシングを使うのも有りですね。
Smithsのメーター側に取り付けるgearboxです。

メーター角度を変えるのには重宝します。

チョッと改造してピックアップに流用も考えます。
正統派ならGearboxDriveです。

タコメータギアボックスは数個の在庫があります。

ギア比1:1、2:1、2:1反転タイプです。
ピックアップ予定のマグネットドライブギアは右回転です。

4:1のクロックワイズのレブカウンタを手配するのが一番簡単です。


在庫整理!

手持ちのクロノメトリックに合わせて2:1Smithsのギアボックスでいきましょう。

他のギアボックス違いピックアップ部は別パーツです。
ピックアップをプーラーで抜きますと丸軸のスプラインです。

ピックアップ部の製作か軸加工等が必要です。
他のギアボックスのピックアップ部との比較です。

英国車にはスロッテドタイプに加工された仕様が多々です。
タコメーターケーブルへのドライブにも違いがあります。

ピックアップと同じように雌形のマイナス溝(スロッテド)加工が見てとれます。

アダプターを介する一番ポピラーな仕様です。

使用予定のギアボックスはインナーケーブルが直接接続されるタイプです。
あえて手の掛かる作戦を遂行しましょう。

一旦バラします。

このSmithsのギアボックスドライブは新品、NOS(new old stock)なのです。

惜しげも無くなくカシメのギアカバーをフライスで大胆に切削します。

カシメの爪だけを削るのが正攻法でしょうが。

カシメは見栄えが良くありません、見た目は大事です。

後処理はちょっと思案ですが・・・・・・・・・
ご開帳。

他のギアボックスと違いグリスニップルがありません。

どうやってグリスアップをするのでしょうか。

メンテナンスフリーとは思えません。
ギアを取り出して見ますとグリスは殆ど見当たりません。

開けて良かった。

グリスニップルも増設しましょう。
思案の末、ピックアップ軸を他のタイプと同形状にフライスで加工を施しました。

スプラインの施された軸には熱処理が施され確り焼きが入っていました。

とても硬いです、簡単には切削出来ません。

シグナスコートされた超硬エンドミルを使用しました。

必要な箇所には確り処理されていますね。

ポイントのガバナ軸を生材のまま使用している国産車もあるというのに流石Smithsです。

グリスニップルは早々に追加しました。
ギアボックスの取付けとピックアップ部の高さを考慮しますと新規に制作した方が簡単です。

点火マグネットのドライブギア締付けボルトを製作です。

左側が付いていたボルト、右側が快作鋼で製作したボルトです。

レンチサイズは3/4、雌ネジはBSF5/16 TPI26で切っています。

高さを抑える為にドライブギアの固定箇所を変更し長さを短くしています。

溝の回転方向のクリアランスは0.5mm取っています。

前後方向のクリアランスはギアボックスの取付け側で取ります。
ピックアップ完成です。

本来の純正ボルトでの固定箇所は変更した位置だと思われます。

ギアの芯位置が確実に決まります。

無駄な遊びが無くなり振れを抑えられますのでギア鳴りも軽減するでしょう。

ダイナモと同じように雑な流用がされていたようです。
パーツ入手の難しいVincentのインスペクションカバーを行き成り加工するのは無謀?

オリジナルは球面ですので計算が面倒です。

寸法調整しなければ行けない部分が数箇所あります。

ギアボックスの取付け、位置合わせはアルミビレットA5056から挽き出して試作です。

動作状態、クリアランスをチェックします。

デコンプレバーをインシュロックで固定してキックを繰り返し不具合の無いことを確認です。
タコメーターケーブルは手配しました。

一番ポピラーなギアボックスに対応しています。

入手先はLink先でもあるCafe British Bikeさんです。

いつもお世話に成っております。

ありがとう御座います。
アダプター方式でケーブルから変換しています。
インナーケーブルが挿入出来ません。

挿入径から判断しますとグレイフェイス用のギアボックスのようです。

インナーケーブルに加工を施します。

挿入出来るようグラインダーで一廻り細い正方形に整形しました。

底突きしないようにインナーケーブルの加工で寸法を出しています。

機能的には問題ありませんが強度が落ちます。

気に入りません!
現状でのアダプター方式へ対応する軸の加工は強度不足と成りますので思案です。

ケーブルのドライブは他のギアボックスと同仕様にしましょう。
軸を11mm切断しました。

真鍮で別パーツとしてコネクト部分を製作です。

軸ガイド内でのケーブルとの接続回転ですので真鍮でも割りは広がらず破損しません。

パーツを軸に挿入し芯を出しロウ付けで接合強度を得ます。

熱処理された軸に銀ロウですと700℃以上掛けますので温度的に若干の問題が。

400℃で使用できる半田ロウで処理しました。
ギアボックスの材質はアンチモンのようです。

インナーケーブルでの直接駆動ですと接触しないクリアランスが設定されています。

ピックアップに変更しますと回転接触により不具合が生じる可能性が有ります。

対策としてドライブソケットに真鍮をインサートし補強しましょう。


タコメーターケーブル側の穴を8.2mm、深さ13mmまで拡大加工しました。

真鍮のインサートは無垢の丸材から削り出しています。
インサートの外径はH7程度に仕上げてあります。

内径はマイナスに加工してありますのでアジャスタブルリーマーで仕上げます。

ハンドプレスで圧入です。

仕事柄、起こり得るトラブルを予測し事前に対策を施しておきます。

趣味で行っているカスタムですが手は抜きません。

強度、安全性を担保しながら進めます。
開けてしまったギアカバーは閉めませんと行けません。

アルミで製作しました。

ギアカバーは軸のストッパーも兼ねています。

回転軸端の受けはアルミでは不都合です。

力も掛かりませんしギアボックス内にはグリスが充填されますが対策は必要です。

t1.0mmの真鍮を圧入して磨耗に対応してあります。
ギアボックス完成です!、軽くバフで磨きました。

ギアカバーは圧入しています、簡単には抜けません。

保険としてステンレスのセットビスを使用しネジロック材ロックタイトを併用してあります。

ギアボックス1個に此処まで拘らなくても、ですね。

ここまでして使用しなければ成らないギアボックスでも有りませんが。

エンジニアの性?・・・・・・まあ性格ですから、笑
こちらも完成です!

インスペクションカバーに合わせてアダプターリングの球面切削を楽しみました。

念の為に外部からの雨水対策に接合面には液体ガスケットを塗布して組んで有ります。

中央の穴はオイル漏れ対策にギアボックスが軽圧入されるクリアランスで仕上げています。

ギアボックスの取付けにはガスケットを使用します。
タコメーターケーブルの取り廻しが綺麗に決まらずお洒落ではありません。

一旦バラして長さをスッキリさせましょう。

カシメ部分の再使用はしません、新規にA5056を旋盤で挽き出しました。

インナーケーブルは直接接触しませんので問題ありません。

保険としてメータード側ドライブエンドのインナーケーブルには真鍮t1.0mmワッシャーを挿入し振れを押さえます。
ドライブエンドにアウターケーブルを挿入し治具にセットしてプレスで一気に絞ります。

写真では見難いのですが外径で0.6mm絞っています。

ドライブエンドのアウター挿入部はマイナスに仕上げています。

アウターが簡単に挿入出来る径ですと絞りを大きく取る必要があり、綺麗に仕上がりません。

30kg掛けても抜けません、力の掛かる箇所ではありませんので十分です。

治具はアウター径に合わせた数種類が製作してあります。
無事に取り付け完了。

お洒落に取り付きました。

ワンパターンの自画自賛!

内部への充填グリスはシリコングリスを使用して有ります。

モリブデングリスですと耐熱性が劣ります。

アウターケーブル内部には高粘度のモリブデン入りグリスのエアゾールタイプを塗布しています。
トップブリッジに輝くタコメーター。

クリップオンには良く似合います。

いかにも走りそうです。

自己満足ですが。

取付けブラケットはt3.0mmのアルミプレートを加工してあります。

雰囲気ですね、やはり2連で並ぶと。

何時見てもクロノメトリックの動きは好いものです。


この機会にとスピードメーターケーブルも新品にリフレッシュしておきました。

ドライブソケットに挿入されるインナーケーブルの長さ、太さには決まりがあります。

クロノメトリックは長さ7/16inch、1/8inchの正方形です。


当時のタコメーターは時計式です。

未舗装路の多い中の道路状況でよく使用できましたね。

時計式はメーター計器に機械式時計を内蔵して一定時間に何回転したかをカウントしてメーター針を動かす方式なのです。

単位の表記はrpm (revolutions per minute)直訳すれば回転毎分です。

クロノメトリックは時計その物なのです、高価な訳です。

カチ、カチと刻む秒針と同じに表示しています。

英国でレブカウンターと呼ぶのはそのものズバリ、数えているのです。

計ってから表示しますのでリニアに反応はしません。

1秒に1回とか計測毎の表示があの独特の針の動きなのです。



一口メモ?

回転の表示は世界共通rpm表示です。
1000回転は何処の国でも1000回転です。

因みに磁石式の国産の二輪車のスピードメーターは1400rpm 60Km/h、4輪車は637rpm 60km/h、共にJIS規格です。
電子式もこれに準じてパルス数を決めています。
独逸のDIN、フランスのBANでは1000rpm 60km/hだったかな。
英米は1000rpm 60mile/hと記憶の引き出しにありますが・・・・・・

序でながら、バイク用のギア比は2:1、4:1の使用が多いですね。
因みに車検でのスピード表示は40km/hにおいて+15%、-10%です。
これだけ測定誤差の許容範囲の広い測定計器は他に有りません。

旧い時代には遠心力式(ガバナ式)のタコメーターもありました。
遠心力の大きさが回転数に比例する事を利用したタイプです。
回転させると遠心力により回転振が縮まり、その回転振の長さを計るガバナをメーターの針と連動させていました。

現代でも利用されているのは磁気式タコメーターですね。
磁石を回転させ、向かい合った金属板を誘導して針を動かす方式です
フーコー式とも呼ばれることもあります、磁石を回転させ電流を発生する原理そのものですから。

近年は電気式タコメータの採用も多いですね。
単純なタイプはスパークプラグへの印加電圧を電気的にカウントし回転数として表示しています。
通常カウントには1次側の電圧(点火パルス)を計測しています。
基本的にはD/A変換、カウントパルスを電圧に変換していますので使われているのは単純に電圧計です。

回転数をエンコーダによりパルスカウントするタイプもあります。
この計測により燃料供給と点火の電子制御が実現したようなものです。
近年は環境問題等もあり最適な燃料供給を行うためにエンジンの正確な回転数を知る必要が有ります。
クランクの角度センサー、単純なロータリーエンコーダからのデジタル信号をECUに入力して表示していますね。
ステッピングモーターを使用したタイプありますかね。
パルス駆動ですので針は有ってもデジタルタコメータですが。

私の業務もロボット、NCに限らず機械制御にエンコーダは無くては成りません。
インクリメンタル、アブソリュートロータリーエンコーダで回転量、回転角度、回転位置を計測し制御しています。
回転方向は位相差信号で判別します。
移動量を計測するリニアエンコーダもよく使用しています。
分解能も405,000周期/回転、4分周すれば1回転1,620,000カウント、角度で行けば0.0002度ですから恐ろしい数値です。